分科会について(9月19日(日))

午前(9:30~12:30)


第1分科会:大学図書館史 「大学図書館問題研究会の歴史を見るPart5」

 今回の大学図書館史分科会は、昨年に続き1970年に成立した大学図書館問題研究会の歴史を主題とする。今回は主に1990年から2000年までを取り上げる。インターネットや電子図書館の始まった当時の大図研と大学図書館界の歩みについて、当時の会報『大学の図書館』を主な史料として振り返ることとしたい。
 また過去の大図研の活動についての言及も含む、図書館史に関する著作の書評報告も予定している。大学図書館史に関心を有する方やこれまでの歴史から現在を捉え直したい方などの参加を期待しており、大学図書館史を学び合う機会としたい。

担当:
加藤 晃一(新潟大学附属図書館)
小山 荘太郎(三重大学国際・情報部)


第2分科会:利用者支援 「もっと知りたい! ILL ~ILL・図書館間相互協力を 取り巻く諸問題について~」

 この分科会では、ILL(文献複写・相互貸借)を中心とした図書館間相互協力について、近年の動向や問題点について参加者が思うことを中心に取り上げ、議論する予定である。
 具体的には、日々の業務を通じて感じている疑問や問題点、あるいはILLを取り巻く状況に対する意見など、ILL・相互協力に関して各自が思っていることをざっくばらんに話し合う場としたい。そして、今後の対応策を見出すことを当分科会の目的とする。
 進行としては、まず司会より問題提起を行った後、いくつかの事例紹介を行う。その後、数名単位でのグループディスカッションを行い、その成果を全体発表する予定である。
(※進行については今後変更の可能性あり)
 なお、ILL業務経験者のみでならず、未経験者の参加も大いに歓迎である。この分科会を通じて、ILL業務や図書館間相互協力に対する理解を深めて欲しいと思う。

担当:
下山 朋幸
安東 正玄(立命館大学)


第3分科会:資料保存 「日本十進分類法新訂10版への移行と既存資料」

 資料を長年受け入れていく中で、日本十進分類法(NDC)の改訂により、目録に使用するNDCの版を変更するときがくる。NDC以外の分類や独自分類を採用している図書館でも、技術の進歩や社会の変化に応じて分類の見直しは避けられない。
 その場合、これまでの蔵書はどうすればいいのか。閉架書庫はまだしも、開架書架では変更した方がいいのか、旧版のままにするのか、移行にはどのような作業が必要なのか。当分科会では新版移行における既存の資料に焦点をあてて、情報交換をおこないたい。
 今回、日本図書館協会分類委員会の一員としてNDC新訂10版の改訂に携わっておられた藤倉恵一氏に、NDC10版への移行のポイントを解説していただく予定だ。藤倉氏はNDCの研究書(藤倉恵一. 日本十進分類法の成立と展開: 日本の「標準」への道程1928-1949. 樹村房, 2018)も出され、現職の大学図書館司書でもある。私たちに貴重な情報を提供してくださるだろう。その他、10版に移行した図書館からの事例報告も募集している。
 分類を新版へ移行した図書館、移行しようとしている図書館ともに、幅広く意見交換がおこなえたらと思う。

事例発表:藤倉恵一氏(文教大学越谷図書館) 、堀米拓哉氏(日本大学図書館歯学部分館)

◎アンケートご協力のお願い◎
参加をご希望の方もそうでない方も、アンケートにご協力いただけますと幸いです。
【〆切:9月16日(木)正午まで】
https://forms.gle/LDBVL74TUBbLSKoG7

担当:
楫 幸子(安田女子大学図書館)
得能 由貴(北海道大学附属図書館)


第4分科会:キャリア形成 「子育てと仕事の両立を考える」

 この分科会では、子育て中や経験者の方から、子育てと仕事の両立をどのように行っているか、限られた時間の中でどのように今後の自身のキャリア形成に役立つことを行っているかを伺う。オンラインの全国大会なので、子育て中の方にも気軽に参加して頂き、子育てと仕事の両立やキャリア形成のためのヒントを得たり、交流を通じて元気になれるような分科会にしたい。将来、子育てをしたいと考えている方や、子育て中の同僚を持つ方も是非ご参加いただきたい。
 会報7月号との連動企画になっているので、参加される方は事前にお読みください。

担当:
柿原 友紀(熊本大学)
中川 恵理子(金沢学院大学図書館)



午後(14:00~17:00)


第5分科会:学術情報基盤 「電子資料の予算をもっと獲得するための利用統計の作り方」

 この分科会では、電子資料の利用統計をテーマとする。
 新型コロナウイルスの影響もあって、図書館ではこれまで以上に電子ブックや電子ジャーナル、データベースなどの電子資料を受け入れる機会が増えていると考えられる。その一方で、これらの資料は紙の資料と異なり、一度導入すれば利用し続けられるものではないことも多く、また資料の予算に限りもあるため、ただ導入すればよいというわけではない。また、せっかく電子資料を導入したとしても、それが効果的に活用されていなければ、たちどころにその予算は削減されてしまうであろう。
 電子資料を継続して利用できるようにするためには、予算の確保が必要である。そのためには、電子資料がどのように利用されているかを把握し、また電子資料の予算獲得に向けて大学の経営陣に説明するための材料となる、電子資料の利用統計の作成が必要となる。この分科会では、効果的な利用統計の作り方について、参加者のみなさんと議論したい。

事例発表:岩井雅史氏(信州大学附属図書館)、西脇亜由子氏(明治大学図書館)

担当:
田辺 浩介(物質・材料研究機構)
西脇 亜由子(明治大学)


第6分科会:図書館経営 「図書館の危機管理:特にコロナ禍への対応について」

 2020年春から続く新型コロナウイルス蔓延に対し、どの大学・図書館もこの未知なる事態に多大な労力を払って対応してきたことと思われる。しかしコロナ禍はまだ収束の時期を見通すことができない。私たちはそうした認識を持ち長い射程をもって対応していくことを求められているといえよう。
 ただ、発生から1年余りが経過し、どの図書館も一定の経験を蓄積してきており、図書館間でのノウハウの交換も行われてきたのが昨年1年間ではなかっただろうか。
 本分科会では、テーマを「図書館の危機管理」とし、特にコロナ禍への対応を中心課題と扱い、事例報告、参加者間の情報交換によって、今後の対応のヒントを得られるべく設定をする。
 講師は小陳左和子氏(東北大学附属図書館事務部長)。参加者には、事前のアンケートを実施してそれぞれの所属機関での対応をお知らせいただく予定である。それらの情報及び参加者の活発な意見交換による実りある分科会としたい。

担当:
赤澤 久弥(大阪大学附属図書館)
鈴木 正紀(文教大学越谷図書館)


第7分科会:図書館建築・デザイン 「地域文化を育む図書館建築と図書館の役割」

 当分科会では、公共・大学の図書館長を歴任された後、現在は大分で地域活動を実践されている渡部幹雄氏(和歌山大学名誉教授 元和歌山大学図書館長)をお迎えし、標記のテーマで講演とディスカッションを予定している。国内外の豊富な図書館視察の経験談をはじめ実践事例などのお話を伺うことを通じて、参加者の皆様にとって今後の実践のヒントや気づきとなれば幸いである。
 なお、オンライン開催に先立ち参加者同士がスムーズに交流を図れるよう、分科会担当より事前に連絡する場合があることを予めご了承願いたい。

担当:
中島 慶子(豊橋創造大学附属図書館)
吉田 弥生(大阪大学附属図書館)


第8分科会:出版・流通 「電子ブックの出版状況の変化と利活用」

 近年徐々に普及してきた電子ブックであるが、コロナ禍により大学での利用も急増した。
 本分科会では、コロナ対応として提供されたオープンアクセスや同時アクセス数増加などを含め、コンテンツ増や契約形態の多様化など、近年の電子ブックの出版状況を概観した上で、今後の大学図書館における利活用について検討する。
 本分科会では書店や大学から、事例報告等を受けた上で、参加者全員による討論を行う。討論の主な対象は日本語の電子ブックとし、選書・管理・提供方法などを中心に議論する(ガイダンスの実施内容など、直接的な利用サービスは対象外)。
 大学での電子ブック利活用に関心がある方は、所属・経験・知識を問わず、参加頂きたい。本分科会は討論が中心となるため、積極的な姿勢で参加くださる方を歓迎する。

担当:
井上 昌彦(関西学院大学図書館)
北川 正路(東京慈恵会医科大学 学術情報センター)