記念講演について(2022年9月17日(土)17:00~18:00)
演題:
読書による知識の体系化 —— 分類・系統・アブダクション


講演者:
三中 信宏氏
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

概要:
 本を読むことは「知識の体系化」を目指すことです。ここでいう“体系化”とは「部分から全体への推論」すなわち「アブダクション」という知的行為を意味しています。読書を通じて自分なりの知識の体系を獲得するためには、まず読んだ内容をいかにして分類するかという往路をたどる必要があります。さらに往路で得られた多くの知識の断片をたがいに系統的に結びつける復路を経て初めて知識の体系となります。今回は読書におけるアブダクションで分類と系統が果たす役割についてお話しします。

講師紹介:
 1958年京都市生まれ。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農業環境研究部門専門員・東京農業大学農学部生物資源開発学科客員教授。東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。農学博士。専門は進化生物学・生物統計学。生物など事物の多様性のパターンとプロセスを体系的に理解する思考法とその可視化のあり方に関心をもっている。最近5年間の著書に『読書とは何か:知を捕らえる15の技術』(河出書房新社)、『読む・打つ・書く——読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』(東京大学出版会)、『系統体系学の世界:生物学の哲学とたどった道のり』(勁草書房)、『思考の体系学:分類と系統から見たダイアグラム論』(春秋社)、『統計思考の世界:曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎』(技術評論社)など、訳書にマニュエル・リマ[三中信宏訳]『The Book of Trees — 系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス』(ビー・エヌ・エヌ新社)などがある。