記念講演について(9/2(土))
演題:
「人と風土が育てた兵庫の酒米「山田錦」」


講演者:
池上 勝氏
兵庫県立農林水産技術総合センター酒米試験地 主席研究員

概要:
兵庫県は日本酒と酒米の生産量が日本一で、それぞれ全国の約1/4 の生産を誇って います。最高の酒米「山田錦」は昭和11 年に兵庫県立農事試験場が育成しました。 兵庫県産「山田錦」の評価が高い理由は、生産環境である土壌や気候に大変恵まれ ていることと良質酒米生産に取り組んできた先人の努力、そして「村米制度」、「酒 米振興会」など生産を支える仕組みの存在によります。土壌は肥沃な粘土質で、根 が深くまで入り、ミネラルも豊富です。また、産地は標高50 ~ 150m の谷あいに 拡がり、昼夜の温度差が大きく、米の実りに適した気候で、大粒で充実した「山田 錦」を育てています。兵庫県の酒米作りは藩政時代から盛んですが、その生産を支 える仕組みとして蔵元と産地集落の結びつきである「村米制度」や昭和25 年に発 足した「酒米振興会」の存在があります。兵庫の「山田錦」や酒米は恵まれた風土 と先人の努力により、現在の発展の姿があります。

講師紹介:
1961 年兵庫県神戸市生まれ。神戸大学大学院農学研究科修了後、1986 年に兵庫県 に採用され、酒米や食用米の品種育成を担当。現在、兵庫県立農林水産技術総合セ ンター酒米試験地主席研究員。兵庫県が日本一を誇る酒米の研究に29 年携わり、「兵 庫錦」、「Hyogo Sake 85」など酒米5 品種を育成した。また、2010 年に「山田錦物 語」(のじぎく文庫出版文化賞)を出版し、日本一の酒米「山田錦」に関する歴史 や魅力を取りまとめた。本講演では、「山田錦」の魅力や「山田錦」を育てた人や 風土について紹介するとともに、「山田錦物語」の執筆に当たって、過去の資料の 保存、整理がいかに重要であるかについても紹介する。

参考文献:
兵庫酒米研究グループ編著.山田錦物語:人と風土が育てた日本一の酒米.神戸新聞総合出版センター,2010,131p.,(のじぎく文庫),9784343005601.