研究発表 [8月27日(土)]
1.戦時体制形成期の図書館事業―国民精神総動員文庫を中心に―
発表者:齊藤 涼(筑波大学図書館情報メディア研究科博士前期課程)
要 旨:
アジア・太平洋戦争期を対象とした従来の図書館史研究では、対米開戦後に本格化する「読書指導」事業が中心に扱われてきた。しかし、総力戦体制の形成期にあった国民精神総動員運動下の図書館事業については詳細な検証がなされていない。本報告では、当該期に全国の中央図書館で運営されていた「国民精神総動員文庫」に注目することで、公共図書館が総力戦体制に包摂されていく過程を明らかにする。

※本報告は、第24回関西文脈の会(2014.9)、第220回京都情報図書館学学習会(2014.10)、大図研京都ワンディセミナー(2015.1)で発表した内容に加筆・修正を行ったものとなります。


2.読書手帳(読書通帳)の導入をめぐって
発表者:和知 剛(郡山女子大学図書館)
要 旨:
発表者は先に「読書通帳の静かなブーム」(カレントアウェアネス,323,5-7,2015.3)において、読書手帳(読書通帳)のタイプ分けを試み、その実際の運用を公共図書館に取材し報告した。今回は「カレントアウェアネス」での記事の報告に加えて、記事では充分に意を尽くせなかった読書手帳と公共図書館における「図書館の自由」の関係や、「カレントアウェアネス」発表後に取り沙汰されるようになった学校図書館における読書手帳の導入についての考察を報告する。

参考:CA1841 - 読書通帳の静かなブーム / 和知 剛 | カレントアウェアネス・ポータル
http://current.ndl.go.jp/ca1841